真夏の工場では適切な温度管理を行わなければ、照りつける日差しが内部の気温を上昇させ40℃を超える環境にもなります。
このような過酷な環境下では作業を行う従業員が熱中症になる可能性が高まり、企業にとって生産性の低下や様々な事故のリスクを追うことにもなりかねません。
この記事では具体的な熱中症対策ができるアイテムや設備の他に、工場で熱中症を引き起こす要因や対策を行うメリットなどを詳しく解説しています。
熱中症から人財をまもり、生産性を向上させるための参考としてご活用ください。
目次
工場・倉庫の気温が暑くなる理由については複数の要因が考えられますが、いくつかの要因が複合しているケースもあります。
ここでは工場・倉庫における主だった熱中症の要因を4つほどご紹介します。
熱中症対策を効率的に行うために自社がかかえる課題や問題を把握し、適切な対策を選択していきましょう。
空調設備には比較的大きなコストがかかります。導入する設備によってはイニシャルコストもランニングコストも無視できない価格です。
企業にとってコスト削減は永遠に付きまとうテーマでもあり、当然のことながらなるべく経費はかけたくありません。
そのため、工場・倉庫内に空調設備を設置しておらず熱中症に対する高いリスクをかかえたままの状態になっているケースもあります。
空調設備は設置しているけれど、効果が薄いまたは低下している可能性があります。
原因として施設内の空調設備に適切なものが選択されていない、設定温度などが適切でない、空調機器の経年劣化により機能が低下しているなどの理由が考えられます。
空調設備の入れ替えや設備のオーバーホール、修理などで解決する場合もありますが、まずは設定温度の見直しや点検を入れてみるのもよいでしょう。
多くの工場・倉庫では建物の壁や屋根が熱をためやすい構造になっています。
真夏の日光が熱伝導のよい屋根に降り注ぎ、工場内を一気に温めます。
工場・倉庫のような広い空間で一度熱がこもってしまうと温度は下がりにくく内部の気温は高い状態が続き、長い時間働く従業員にダメージを与えます。
簡単に工場・倉庫を建て替えることはできませんので、施設内の温度管理や従業員の体調管理に注意が必要です。
工場では様々な機械が使用されていますが、動力や動作において熱を発します。
高温になる機械もあり、作業の行程で発生する熱により工場内の気温上昇は避けられません。
機械の交換や作業工程を変えることは簡単にできることではないので、温度の調整は必須となるでしょう。
熱中症対策には色々な方法がありますが、従業員一人ひとりへの対策も有効な方法のひとつです。
従業員の熱中症対策に役立つ3つのアイテムをご紹介します。
大型の空調機器を導入するよりもコストが抑えられ、気軽に使用できるアイテムなのですぐに活用できる熱中症対策として活用してみてください。
空調服は服の中で空気を循環させる作業着です。
空調服の胴回りから電動のファンで空気を送り襟や袖から空気を逃がすことで、作業着内部に溜まった熱気を外に放出してくれます。
体感温度を大きく下げることができるので熱気のこもる工場内での作業はもちろん、炎天下の工事現場や警備などでも人気です。
動力はバッテリー式のものが多く、フル充電で数時間の使用が可能となっています。
効果の高い熱中症対策として、個人や企業で広く活用されている熱中症対策アイテムです。
冷却素材で体感温度を下げてくれる冷却タオル・マフラーには「接触冷感タイプ」と「瞬間冷却タイプ」があります。
「接触冷感タイプ」は肌に直接触れることで清涼感が得られる特殊素材を使った冷却タオル・マフラーで、気軽に使用できるというメリットがあります。
「瞬間冷却タイプ」は水に濡らして振ると冷たくなる冷却タオル・マフラーで「接触冷感タイプ」よりも高い冷却効果があり、水分を含んでいれば振るだけで何度でも冷たくなります。
気温の高い現場なら「瞬間冷却タイプ」がおすすめです。
冷却タオル・マフラーは比較的安価に取り入れられる熱中症対策です。
ボディーシートは汗やベタつき解消に利用されていますが、その清涼感は熱中症対策にも有効です。
ボディーシートを使用した部分の表面温度を下げてくれるので、体感温度も大きく変わり暑さをやわらげてくれます。同時にベタつきやニオイも解消され不快感も軽減されるので一石二鳥です。
使い捨てで気軽に使用できるので、常備しておけば簡単に熱中症対策として活用できます。
先ほど取り上げたものは比較的安価で取り入れやすい熱中症対策ではありますが、あくまで補助的なものになります。
根本的な熱中症対策を考えるのであれば、設備の導入がおすすめです。
熱を遮るものや冷ますものなど様々な設備が工場内の気温を下げ、熱中症を予防してくれます。
熱中症に有効な設備は複数ありますが、ポイントとしてはそれぞれの設備の効果を理解して、自社工場に適したものを選択することです。
ここからは5つの熱中症対策に役立つ設備をご紹介しますので、特徴を確認して熱中症対策の参考にしてください。
遮熱材は主に屋根などに使用される設備です。
真夏の太陽光による輻射熱で工場内の気温はどんどん上昇し、一度上がった工場内の気温はなかなか下がりません。
遮熱材を使用すれば太陽光による屋根の温度上昇を軽減してくれるほか、同じ原理で機械から発生する輻射熱に対しても有効です。
ランニングコストがかからないので、効果的に使用すれば費用対効果の高い熱中症対策となります。
導入費用:50万円~数百万円
スポットクーラーは工場で働く従業員などをスポットで冷却する空調機器です。
部分的なクーラーで効率よく冷却してくれるので、夏場でも従業員が涼しい環境で仕事をこなすことができます。
風向の調整や本体の移動が可能なスポットクーラーも多く、ライン作業などで所定の場所を受け持つ従業員には効果の高い空調設備です。
導入費用:5万円~15万円
大型扇風機はコストを抑えて作業員の体感温度を下げてくれる熱中症対策です。
同じような用途で使用するスポットクーラーと比べると、イニシャルもランニングもコストを抑えることができます。
冷却性能はクーラーにゆずりますが、対策をしていない施設内と比べると作業員の体感温度の差は大きなものです。
また空調機器のサポートとしても優秀な効果を発揮します。
さらにコストパフォーマンスの高い設備として、大型シーリングファンもおすすめです。
導入費用:1万円~5万円
業務用エアコンは施設内の熱中症や温度調整を解決する効果的な方法です。
きわめて広範囲を調節できる強力な空調設備で工場内全体の温度をコントロールするので、従業員は快適な環境で作業を行えます。
広さや環境に合わせた空調設備を導入することができるので、生産性の向上にも寄与する設備です。
ただし、導入費用やランニングコストは高額になるので十分な計画の上で導入することが重要です。
導入費用:100万円から500万円
屋根用スプリンクラーは屋根からの温度上昇を抑制してくれます。
遮熱材と同じように屋根からの輻射熱を対策することで、工場内を温める要因を排除する設備です。
散水した時の気化熱により屋根の温度を下げるので効果も大きく、空調機器に比べ電力消費も少ない方法となります。
施工費用やメンテナンス費用を要する点や、散水による水道代などには注意が必要です。
導入費用:50万円から数百万円
熱中症は熱により体の体温調節が上手くいかない状態や、体内の水分・塩分の量が低下した状態で発症します。
つまり気温が高い工場内では体温が上がりやすく、発汗で水分や塩分が急激に失われる環境でもあるため、体調管理をしっかりと行うことが熱中症の対策にとても有効です。
この記事でも紹介した体温を冷ますアイテム(空調服など)は体温上昇を抑えてくれる効果的なアイテムです。
スポーツドリンクなどの体が吸収しやすい飲み物を補給することで、汗などで外に出ていった水分をしっかりと補給します。
また、塩分は市販の塩飴や塩分補給サプリなどを定期的に口に入れることで補給できます。
空調設備の導入なども有効な熱中症対策ですが、水分補給や塩分補給、体を冷やすことを推奨することで、大切な従業員を熱中症から守りましょう。
従業員が元気かつ健康で作業してくれることは、企業にとって大きなメリットです。
なぜなら、健康な従業員と熱中症などで健康を損なった従業員とでは作業の精度や進捗に大きな開きがでてしまい、周囲への影響もあるからです。
熱中症などで体調が悪ければミスも起こりがちになりますし、熱中症で大切な従業員に欠員が出てしまえば、業務は鈍化し生産性も大きく低下に繋がりかねません。
体調面だけでなくモチベーションも低下するなど、従業員の健康が損なわれることで受ける企業の被害は甚大です。
熱中症は環境に依存するので複数の従業員が熱中症になってしまえば、なおさら大きな損失を生んでしまうことでしょう。
熱中症対策を行うことで従業員の健康を守って高水準の業務を維持することは、作業効率や生産性の向上に大きく寄与する重要な投資となります。
熱中症対策を行い従業員を守ることは、企業にとっても大きなメリットがあることは間違いありません。
重要なことは工場・倉庫の現状をしっかりと確認することです。
「何が原因で工場・倉庫内の気温が上昇しているのか?」
「働く従業員への注意喚起や個々による対策の推奨はできているか?」
など、いま一度チェックしてみてはいかがでしょう。
工場・倉庫内の状態をプロの目線で適切に確認したければ、空調設備に特化した業者に点検を依頼するのも良い方法です。
省エネで環境問題やSDGsにも取り組んだ熱中症対策を行う、というひとつの経営戦略はさらに大きなメリットを生むかもしれませんね。
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