工場・倉庫でも可能な費用対効果の高い結露対策はどれ?

日本人にとって身近な自然現象である結露。

寒暖差を受けやすい場所や環境では結露が発生しやすく、工場や倉庫などもそのひとつといえます。

また、結露は多くのリスクの要因ともなるため、可能な限り制御したい現象のひとつです。

この記事では、厄介な結露が工場や倉庫で発生しやすい原因やリスクについての考察、さらに効果的な結露対策を、費用対効果も確認しながら具体的に解説していきます。

結露を防止することによる職場環境の改善と生産性の向上にお役立てください。

工場や倉庫の製品や床に結露ができやすい原因

対策を検討する上で原因を知ることは重要です。

ここでは、工場や倉庫の製品や床に結露ができやすい原因について、代表的な3つの原因を確認していきます。

なお、結露の原因をさぐる場合、様々な事象が複合的に重なり発生していることもあるので、ひとつの可能性だけで決定付けるのではなく、網羅的に考察することをおすすめします。

外との気温差が激しい

結露が起こる大きな原因は「寒暖差」です。

外気が冷たく建物の内部が暖かい場合は、外気によって冷やされた建物の一部と建物内部の空気が接触し、空気内の水蒸気もまた急激に冷やされ結露が発生します。

暖かい空気はより多くの水蒸気を含み、冷えた空気ではその逆です。

特にガラス窓や薄いコンクリートや金属素材の壁など、工場の壁などに使われがちな素材は外気に近い温度になりやすいので結露も発生しやすくなります。

どの季節においても外気との温度差が激しい工場や倉庫は、まるで冷えた麦茶やアイスコーヒーを入れた夏場のガラスコップのような状態なのです。

窓が少なく換気ができない

結露の発生において、窓の数は大きく影響します。窓を開けて換気をして空気を入れ替えることで、偏った空気中の水蒸気を一定にすることができる他、換気した際の気流は結露が発生しにくい状況をつくることができます。

しかし、窓が少ない工場や倉庫などの環境下では、広範囲にわたって換気を行き届かせることが難しく、結果として結露が発生しやすい状況になりがちです。

密閉された空間は、結露を招きやすい環境だという点は押さえておきたいポイントです。

コンクリートの壁・床や段ボールで水分が蒸発しない

工場や倉庫では壁面や床がコンクリートである場合も多く、木材などに比べると水分が蒸発しにくい環境であることも多いようです。

加えて、建物内に置かれている段ボールなどの資材が水分を蒸発させにくい環境を作っている場合も多く、相対的にこのような条件下では空気中の水分量が多くなります。

水分が含まれた空気、また密閉された空間という結露が発生しやすい条件下では注意が必要です。

結露で起こりうる職場のリスク

結露で起こりうるリスクは直接的なものから間接的なものまで様々です。

「たかが結露」と思っていると、危険です!長期的な目線で見ると、思わぬ大損害に発展してしまうこともあります。

ここでは、結露がもたらす2つの大きなリスクについて確認していきましょう。

働く職員の健康リスクにつながる

結露による多量の湿気は、カビや害虫の温床になる場合があります。

カビや害虫は職員の衛生面や呼吸器系への被害、アレルギーの原因など健康における重大なリスクとなり得ます。

職員の健康は医療費の削減や職場全体の雰囲気、職員のモチベーションの向上、業務効率の維持・向上など、結果的に生産性の向上に寄与します。

離職率の低下にも繋がり、健康というリソースは会社のイメージを向上させることにつながるのです。

カビやサビによって商品や機械の劣化につながる

結露は商品や機械など「物」の保管や維持におけるリスクにもかかわります。

結露が原因となりカビやサビが発生することは、商品や製品の劣化という直接的な損害につながります。その結果、生産力の低下などにもつながり、企業に与える損失は甚大です。

被害を避けるために定期的なメンテナンスは必須ですが、カビやサビの影響を排除することで、商品や設備を長く美しく保つことのできる相乗効果が生まれます。

一番の結露対策は換気をすること

結露対策にはどんな方法が効果的なのでしょう?

結論は「換気をすること」です。

ここからは結露対策として有効な「換気」の具体的な方法を確認していきます。

窓やドアを開ける機会を増やす

窓やドアを開けて換気を行うことは有効な結露対策になります。

対角線上に窓やドアを解放することで空気の通りがよくなり、結露が発生しづらい環境をつくります。

ただし工場や倉庫などの現場では窓やドアの配置やその数により、結露対策に有効な換気ができない場合もあります。

風通しが良く、空気が循環する環境を作る

窓の配置や数で十分な換気ができない場合、現場に空気が循環する環境を整えることで強力な結露対策となります。

風通しを良くする、空気を循環させる、このような環境を意図的につくりだすことで、結露によるリスクを大きく軽減することができます。

もちろん、企業として結露対策における費用対効果の最大化は必須といえるでしょう。

【費用対効果で見る】工場や倉庫内に効果的な結露対策

ここからは“費用対効果で見る”効果的な結露対策の具体的な方法をご紹介します。

効果の薄いものに大切な経費を使いたくはありません。

5つの対策を紹介していますので、自社の特性や業務状況に適合し、費用対効果を最大化できる対策をご検討されるとよいでしょう。

テント倉庫にする【費用対効果×】

結露対策としてテント倉庫にしてしまうという方法があります。

メリットは従来の倉庫に比べ建築期間やコストなどが安価であり、テントなので壁や天井などにサビが発生しにくく、換気システムなどをカスタムで設置することができます。

しかし、新たにテント倉庫を設置するにはそれなりの費用も必要になり、現在の場所からの業務移管の問題や劣化における張り替えコストの問題、そもそも設置する場所を確保する問題もあります。

クリアすべき課題は比較的多く、工場や倉庫を運営している状態において、結露対策という観点でテント倉庫を建設することは費用対効果も良いとはいえません。

窓の設置【費用対効果×】

工場や倉庫に窓を設置する方法は換気を行う上では理にかなった方法です。

しかし、費用対効果という観点では必ずしも良いとはいえません。

大掛かりな工事になるので費用と期間がかかる

現在の施設に新たな窓を設置することは結露対策においても有効な方法のひとつでしょう。

しかし、工場や倉庫は住宅やオフィスと違い天井が高く空間が広い構造になっています。


また、広い空間で十分な換気量を確保するには相当数の窓を設置する必要があり、1ヶ所あたりの費用も設置場所や性能(防音や断熱など)により様々ですが数万円から数十万円と、かなり高額になります。

工期も高所作業や機器の移動などを伴い、長期にわたる場合があります。

結露対策として窓や窓ガラスを増設することは費用対効果として割高になる傾向です。

窓が開けられない現場には不向き

窓を設置する上でもう一つ見逃せないのは、窓を開けることができるのか?という点です。

多くの機器や設備、製品を配置・保管する工場や倉庫では窓の設置が不可能な場合もあるでしょう。

また、建築基準法や消防法などの法的基準を満たす必要もあります。

このような制限下では、窓や窓ガラスを設置する以外の方法を検討せざるを得ません。

ストレッチフィルムをかける【費用対効果△】

ストレッチフィルムは結露対策のひとつとして有効な手段です。

ストレッチフィルムを利用して結露対策を行う場合のポイントは次の通りです。

商品のみを守る用途なら〇

ストレッチフィルムは梱包資材のひとつとして、汚れ防止や防水の効果があります。
つまり、段ボールなどの資材や梱包物、大切な商品などを結露から守るのに効果的な方法となります。

保護の一環として結露への対応に利用される場面が多く、その他の結露対策と複合して活用されている方法です。

根本的な結露の対策にはならない

段ボールや商品などを結露から守る方法として有効なストレッチフィルムですが、工場や倉庫の結露を軽減するための根本的な方法ではないことに留意する必要があります。

商品への直接的な対策にはなりますが、結露による機械や設備、建物などへのダメージを回避する根本的な対策とはいえません。

根本的な対策は別途考慮する必要がありそうです。

業務用サーキュレーターの設置【費用対効果〇】

サーキュレーターは空気の循環を促進させ結露を抑える効果があります。

工場や倉庫で滞留しやすい空気を循環させることは根本的な結露対策としても有効な方法です。

狭い工場や倉庫には効果的

比較的小規模な工場や倉庫ではサーキュレーターなどの工業用ファンによる結露対策が効果的です。

サーキュレーターは壁掛けやスタンドなどを用い、地面に近い場所に設置します。

天井が高くなく、それほど広くない空間では複数台のサーキュレーターで空気を循環・換気させるのも効果的です。

広い工場だと必要台数が多すぎる

ただし、注意が必要なのは規模の大きな工場や倉庫の場合です。

施設が広いほどサーキュレーターの数も増え、天井が高いほど全体の空気の循環や換気がうまくできないなどの問題が生じてきます。

台数が増えるとサーキュレーターが施設に占める割合も増えるばかりか、ファンやモーター音が大きくなる点も注意が必要です。

意外と電気代が高くつくことも

小規模施設なら費用対効果の高いサーキュレーターです。

しかし、モーターの力で強い風を発生させるため、少数の運転ならそれほど電気代を気にする必要もありませんが、台数が増える程に電気代も高くなります。

大型の工場や倉庫で有効に空気を循環させるためには数十台のサーキュレーターが必要になるでしょう。

この場合の電気代を考えてみると、意外と高くつくことも分かります。

大型シーリングファンの設置【費用対効果◎】

サーキュレーターは小規模施設向きですが、中~大規模な施設で費用対効果が高く有効な結露対策として代表的なのはシーリングファンです。

天井の高い工場内や倉庫との相性が良い

結露とは空気中の水蒸気が冷やされて水になり、物体に付着したものです。

冬の寒い日に室内で暖房を付けると、窓に水滴がつくのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

結露を防ぐためには施設内の空気管理が重要になりますが、天井の高い工場や倉庫で全体の空気を循環させ、換気することは比較的難しい課題です。

大型シーリングファンは施設の天井に設置し、頭上から大きなファンで施設全体の空気を立体的に動かすので、工場や倉庫にとって相性のよい組み合わせであり効率的な方法と言えます。

工場や倉庫に限りませんが、天井の高い施設でシーリングファンを活用することは結露対策として広く用いられる有効な方法です。

室内全体が一定の温度になるので空調設備の省エネになる

大型シーリングファンで空気を循環させることにより、施設内の空気の状態が一定に保持されます。

これは湿度だけでなく温度にもいえることで、大型シーリングファンの気流により冷暖房などの空調設備の運転をサポートすることで効率よく省エネで運転することが可能です。

例えば大型シーリングファン1台で工業用ファン約75台分の能力がありながら電気代は95%の省エネ効果があります。

冬の結露のみでなく、夏場の熱中症対策にも効果的

熱中症対策なら大型シーリングファンのように施設全体の空気を循環させることができる設備はとても有効です。

大型シーリングファンは一定の温度や湿度を保持する効果があるので、冷房などと組み合わせることで調整した空気を循環させ過ごしやすい職場環境の維持に貢献します。

冬場の結露対策だけでなく、夏場の熱中症対策を同時にカバーすることができる大型シーリングファンの費用対効果は非常に高いといえます。

サーキュレーターの使用も可能ですが、1台当たりの守備範囲が狭く広さによっては逆にコストがかかってしまう恐れもあるので、注意が必要です。

まとめ

結露について原因とリスク、具体的な対策方法と費用対効果などを確認してきました。

工場や倉庫を運営する上では結露が厄介な自然現象であることに変わりはありません。

そこで結露によって起こりうる被害から会社を守り、可能な限り対策をとることで、損害を回避するだけでなく、総合的な費用対効果にも期待できることが考えられます。

結露対策に加え熱中症対策、さらに感染症対策も自社にあった換気システムを構築することは中長期的に、費用対効果の高い方法になり得ます。

長期的に、そして総合的に費用対効果が高く優良な環境構築のために、結露対策を見直していきましょう。

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