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この記事では、工場や倉庫の湿度が上がりやすい原因、湿度に関する法令、湿度を下げる具体的な方法などを分かりやすく説明しています。
問題を解決するためには、工場や倉庫で湿度が上がってしまう原因、湿度管理の法規制、湿気による影響を確認しておくことが重要です。
湿度が上がる原因を考える上で注目したいポイントは大きく分けて次の3つです。
・建物の構造
・設置されている設備
・保管されているもの
これらのポイントをもとに、湿度が上がる原因を細かく確認していきましょう。
複合的な要素が湿気の原因になる可能性もあるので、対策には十分な調査と検討が重要です。また、増加した湿度が機器や製品の劣化に影響することもあるので要注意です。
空気の循環が少ない工場や倉庫では湿気の多い空気がそのまま建物の中で停滞しやすく、トラブルの原因にもなっています。
窓の数や使用状況などは、湿気が多くなる大きな原因になります。
空調設備は湿気対策にも有効ですが、工場や倉庫の規模が大きくなるほど空調設備も大がかりになります。
広さに対する容量不足や経年劣化による能力の低下など、思うように空調ができないこともあります。
工場や倉庫の構造的な特徴としては天井が高く間仕切りが少なく、せっかくの換気システムが上手く機能していないこともあります。
天井の高さや施設内の区切り方で気流や温度などの空調効率も変化し、システムが発揮できる能力値にも影響を与えているのです。
換気システムが効かない場合は、天井高や間仕切りなどの構造にも着目してみてください。
工場や倉庫内に湿気を吸収・保持してしまう材質のものが多ければ、空気中の湿度も必然的に増加します。
ダンボールなどはその代表例といえますが、多くの場合に輸送や保管で必須のアイテムにもなっています。
湿気の多い場所に長期間置いたままなら、ダンボールに含まれる水分も湿気となりトラブルの原因にもなりかねません。
コンクリートは一定量の水分を溜め込み、やがてその水分が吐き出されると空気中の湿気となり工場や倉庫、ガレージ内の湿度が上がる原因にもなります。
木材のような調湿効果は希薄なので、特にコンクリートで囲まれた場所などでは湿度対策はしっかりと行いたいものです。
工場の湿度管理については「労働安全衛生規則」という法令に基づき、管理する必要があります。
「労働安全衛生規則」とは、労働環境における安全や衛生面の確保を目的に労働安全衛生法に基づき厚生労働省が発令する省令で、違反者には罰則規定もあるので注意が必要です。
湿度等の定めについては、主に第606条の“屋内作業場における温湿度調整の義務規定”や第607条の“屋内作業場における気温、湿度、ふく射熱の測定の義務規定”などの内容が示されています。
[参考]
労働安全衛生規則
第606条
事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない。
第607条
事業者は、第五百八十七条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内 ごとに一回、定期に当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。
さらに労働効率や生産性に与える影響も考えなくてはなりません。
保管物を湿気から守る方法として、ストレッチフィルムなどでカバーする対策があります。
保管物や製品などをフィルムで覆い、除湿剤などを挟むことにより湿気から保護する方法なのですが、フィルムで覆う数や面積が増えてしまうと効率の良い対策とはいえません。
ストレッチフィルムは湿気からの保護が目的となりますので、コストパフォーマンスを考えると湿気の除去または抑制などの根本的な対策を検討する必要があります。
湿気の多い環境ではカビやサビが発生しやすく、設備に与える影響も甚大です。
カビの発生により設備や建物にダメージを与えるばかりか、職員の健康被害、製品の品質低下など企業にとって非常に大きな損失となります。
サビが発生すれば設備や建物は劣化し生産能力の低下や不具合、故障への対応など積み重なれば大きな経費となります。
企業にとって工場や倉庫内の湿度を下げ適切な空調管理を行うことは、大きなメリットになります。
では、実際に湿度を下げる有効な方法にはどんなものがあるのでしょう?
ここからは工場や倉庫の湿度を下げる具体的な4つの方法をご紹介します。
自社の工場や倉庫の広さや構造に合わせた効果的な方法を選択しましょう。
除湿剤を用いた湿度対策は規模の小さい工場での使用や、ストレッチフィルムに挟むことで効果を発揮します。
除湿剤の材料はシリカゲルや塩化カルシウムなどが一般的で、他の対策と比べると除湿剤ひとつの単価は安くなります。
しかし中規模以上の工場や倉庫では大量の除湿剤を定期的に取り換える必要があるので非効率です。
例えば、中規模工場で50,000円分の除湿剤を年5回交換すると年間250,000円の支出となり、さらに部分的な除湿しかできないとなればあまり実用的な方法とは言えません。
除湿剤の配置は工場や倉庫の規模を考慮しつつ、部分的な湿度対策としておすすめの方法です。
除湿器を配置する方法も、規模の小さい工場や倉庫の湿気対策には有効な方法です。
業務用の除湿器であれば能力も高く、狭い空間なら抜群の性能を発揮してくれます。
価格は機能や除湿能力によって様々ですが、10万円程度のものから数十万円程度のものまであり、広さや用途に応じて選択できます。
しかし、除湿剤と同様に中〜大規模の広い空間の除湿には限界があり、根本的な湿度対策には向きません。
除湿剤の配置は小規模の設備、または局所的な湿度対策としておすすめの方法です。
窓や換気システムで空気を入れ替え循環させることで、工場や倉庫の高い湿度を改善してくれます。
しかし、窓や換気システムの見直しは関連法律の遵守や多額な工事費用などクリアすべき課題が多いです。
そもそも構造や業務の性質上、窓の開閉や換気システムの見直しができない場合もあるので十分な検討が必要です。
施工費用は規模の大きな工事になると、数百万円から数千万円を要する場合もあります。
窓の設置や換気システムの見直しは建物や設備の制限がなく、根本的な湿度対策を検討する場合におすすめの対策です。
あらゆる規模の工場や倉庫にもおすすめの湿度対策は大型シーリングファンです。
大きさや種類の多いシーリングファンであれば規模の大小を問わず設置できる工場や倉庫(ガレージ)にも汎用性があり、広さや高さのある施設でも高い調湿効果を発揮します。
導入費用やメンテナンスコストなどを考慮する必要はありますが、空調機器の補助、温度調整や感染症対策など、設備や製品の保全だけでなく職員の体調管理にも有効な方法です。
シーリングファンの価格は工事費込みで約100万円から300万円。
長期的に見ると経費削減や生産性の向上にも寄与する、コストパフォーマンスも高いおすすめの湿度対策となっています。
工場や倉庫(ガレージ)の湿気対策として重要な点は次の通りです。
・湿度が高くなる原因を知ること
・関連する法令や建物、設備の状況を確認する
・自社の施設に適切な湿気対策を選択する
企業にとって湿気は注意すべきリスクであり、対策を施すことで改善できる可能性が高い現象でもあります。
生産能力や保管能力が高い中〜大規模な工場や倉庫では、原因の特定や対策も難しくなりますが、総合的な視点で検討すれば費用対効果の高い対策を打つことも可能です。
また湿度を調整することは機器や製品への配慮や職員の体調や心理的安全性にもつながり、生産性の向上にも一役かってくれます。
空調設備や湿度対策を万全にして、職場環境をより良いものにアップデートしていきましょう。
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